それ重要!
先日、アパートに数年間入居されていたお客様が、引っ越されるとの事で、ガスの閉栓に伺った時の事。
数年前まで、毎月の集金に伺っていましたが、コロナ禍になり、コンビニでの振込へのご協力を頂いておりました。
毎月の集金に対応してくださっていたのが、ご主人で、物腰の柔らかな、どこか垢抜けた感じの方でした。
定期的にお会いするうちに、だんだんと慣れてときて、様々な世間話をしたり冗談を言い合ったりしていました。
なのですが、今回の引っ越しはそのご主人が亡くなられたために、ひとりぼっちになってしまった奥様が息子さんの住む東京に、転居されるというのもでした。
数分間の雑談の中で、奥様が引っ越し準備真っ最中の部屋の中を指差しながら、
『このタンスも桐で出来ていて、すごく良いものなんだけど、持っていけないのよ〜〜。今度行くところはだいぶ部屋が狭くなるから、残念だけど処分していくしかないのよ〜〜、良いものなんだけどね』
と、かなり残念そう。
“そうだよな…旦那さんとの思い入れもあるだろうしね(泣)でも、花の東京だもん、家賃も相当だろうから、今までのように置く場所がないなら仕方ないか・・・。
などと思いを巡らせながら、あれこれおしゃべりし、精算も終えて、最後の挨拶を交わして、会社に戻ってきました。
昼食の時に、主人にさっきの出来事のあれこれを話すと、常々会うという仕事の知り合いで、不要品を取り扱っている方がいるとのこと。
『じゃ!あの桐のタンス良いんじゃない?いい品物だと言っていたし、その人も喜ぶねきっと。』
と、処分されてしまう前に、おお急ぎで電話をすることに。そして、
「あのぉ~~、先ほどの、桐のタンスのことなんですが~~~・・・」
と、その旨を奥様に話すと、なんともケロっとした口調で驚きの言葉が!!
「でも、あのタンスはダメだと思うよ〜〜。だって、ほら、引き出しが無いから~~」
との事…。
えっ?引き出しが無いってどーゆー事? へっ!? 引き出しの無いタンスって事??
それって、かなり重要なことだと思いますが・・・。
そう言えば、さっきはタンスの後ろ姿しか見えなかった・・・(泣)
受話器を置いたあとで、そのことを告げた私と、告げられた主人が、しばしボー然としていたことは言うまでもありません。